Ubiquitous Display

UD(Ubiquitous Display)とは,人に対してより分かりやすく快適な情報提供を目的として,2006年より本研究室で開発を進めている移動投影ロボットです.UDは,車輪型移動ロボットの上に,上下左右に動かすことが可能な機構を備えたプロジェクタを搭載しています(Fig.1).
この機構を活かし,UD自らが移動しながら情報提供を行うことで,設置場所に囚われることなく,壁や床などあらゆる場所に情報を提示することが可能となります.これにより,利用者はいつでも・どこでも・何も持つことなく情報を得ることができます.また,プロジェクタによる映像投影により視覚的な情報提示を行うだけでなく,プロジェクタの特性を活かし,実在する物に映像を被せることで拡張現実感(AR)を実現し,より直観的で分かり易い情報提供を実現しています.
UDは,従来の情報提示である掲示板といった利用者が自ら情報を探しに行く受動的な情報提示ではなく,ロボットが人に対して情報提供を行うより能動的な新たな情報提供の在り方の実現を目指しています.
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Fig.1 Ubiquitous Display

研究内容

視覚的情報支援のための自律行動モデル

UDは視覚的情報支援を行うという観点から情報提示を行う際,人にとって提示された情報の取得が困難にならず,かつUD自身が正確に情報を提示できるよう振る舞うことが重要となる.そのため,投影情報の欠落,移動ロボットを用いることから人とロボットとの立ち位置問題や障害物や人との接触といった問題を考慮しなければならない(Fig.2).
そこで本研究では,UDが人に対して効果的に情報提示を行うための自律行動モデルを提案する.本モデルは,人・UD・障害物などの位置情報に基づきUDの最適な投影位置の推定および移動するための経路計画を行う.

UD
Fig.2 行動モデルの要素
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Fig.3 大型公共施設における情報支援の例
大型公共施設において情報支援を行う
ための行動モデル

ショッピングモールなどの大型公共施設において,UDがセンサによって利用者の位置や意図・行動を理解した上で,最適な位置まで移動し利用者に対して視覚的情報支援を行う一連の振る舞いをモデル化する.
例えば,目的の店舗が分からず迷っている利用者がいる場合,UDはその利用者に寄り添い,プロジェクタによる投影を用いて目的地まで案内する(Fig.3左).また,既存の情報掲示物や商品を見ている利用者に対しては,利用者にとって最も有用な情報を実物体に重ね合わせるように投影する(Fig.3右).これらのことによって,フロアマップといった固定された掲示物までの移動という利用者の負担が減らせるといったメリットや,既存の掲示物に対してよりパーソナライズされた付加的情報を重畳できるため,利用者は欲しい情報を容易に取得できるといったメリットがある.

情報投影のためのLRFを用いた人物位置・向き推定

UDの活動には,環境地図・自己位置・人物位置・障害物位置といった情報が必要不可欠である.現状では,実験環境に設置したセンサなどによりそれらの情報をUDに与えているが,今後はロボット自身による独立した環境把握が行えることが望ましい.
そこで,UDに新たにセンサ類を搭載しそれから得られる情報のみを用いて,地図生成や自己・人物位置推定,障害物検知を目指す.その第一歩として,UDに搭載したレーザレンジファインダ(LRF)から得られる距離データを基に,人物の位置と向きを推定する手法を提案した(Fig.4).評価実験では,推定位置に関してはUDの活動に有用であることが分かったが,推定向きは,UDでの実用には誤差を小さくする必要があることが分かった.

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Fig.4 LRFによる距離画像
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Fig.5 アナモルフォーズによる立体視
アナモルフォーズを活用した
裸眼立体提示

近年,3D映画やテレビなどの登場により,立体的な情報提示が注目されつつある.しかし,従来の方法では特殊なデバイスを装着したり視差を利用して立体視の実現を行なっているため,ユーザの眼精疲労や立体視酔い等の問題点を抱えている.そこで我々はユーザの身体に負担をかけない裸眼立体視の実現としてアナモルフォ ーズを用いた手法を提案している.
アナモルフォーズとは,一見何が描かれているか分からないが,ある一点から眺めると正常な絵が見えるという描画手法である(Fig.5 右).アナモルフォーズは絵画だけでなく彫像や建築にも用いられており,身近なものでは路面に描かれている交通標識などがある.我々はこのアナモルフォーズを利用し,ユーザの視点から見たときに正常に見える画像を投影することで立体視を実現させようと試みている.ユーザに見せたい物体の画像をアナモルフォーズとして地面に投影すると,実際にその物体がその場所に存在しているかのようにユーザに錯覚させることができる.また,投影画像をユーザがより立体であると捉えるように,アニメーションや物体の影を加える等の研究を行なっている(Fig.5 左).

UDに関する主な研究業績

タイトル 著者名 発表先(講演会名,学会誌名) 巻(Vol.) 号(No.) ページ 年月日
2012年度
Building a Behavior Model for the Ubiquitous Display to be used in a large-scale public facility Tomoyuki Shiotani, Kosuke Maegawa, Kenji Iwamoto, Joo-Ho Lee Ubiquitous Robots and Ambient Intelligence 2012 pp.228-233 2012.11
大型公共施設においてサービス提供を行うUbiquitous Display のための行動モデルの構築 塩谷朋之, 前川晃祐,岩本健児,李周浩 日本ロボット学会学術講演会 Vol.30 2N2-4 2012.9
Ubiquitous Displayによる情報投影のためのLRFを用いた人物位置・向き推定 前川晃祐, 塩谷朋之, 李周浩 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2012 1A1-P03 2012.5
Estimation of Human Position and Direction for Projection of Ubiquitous Display by using Laser Range Finder Kosuke Maegawa, Tomoyuki Shiotani and Joo-Ho Lee DUT-RU Joint Workshop on Information Science and Engineering 2012.3
2011年度
A behavior model of autonomous mobile projection robot for the visual information Tomoyuki Shiotani, Kosuke Maegawa, Joo-Ho Lee Ubiquitous Robots and Ambient Intelligence 2011 pp615-620 2011.11
視覚的情報支援のための自律移動投影ロボットの行動モデル 塩谷朋之, 前川晃祐,李周浩 日本ロボット学会学術講演会 Vol.29 3G2-7 2011.9
動的環境下における移動投影ロボットの行動モデル 塩谷朋之, 高橋亮, 李周浩 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2011 2A1-D07 2011.5
2010年度
移動投影ロボットを用いた人に効果的な視覚情報投影の検証 塩谷朋之, 高橋淳子, 高橋亮, 李周浩 第11回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2010) vol.108 No.138 pp1531-1534 2010.12
Behavior Model for Ubiquitous Display to Interact with Human Ryo Takahashi, Joo-Ho Lee The Third Asian Joint Workshop on Information Technologies 2010.10
Active Information Display without Occlusion using UD-mp DongKyun Cho, JeongEom Lee, JooHyung Kim, JooHo Lee, GwiTae Park International Conference on Control, Automation and Systems 2010 p399-402 2010.10
移動投影ロボットの振る舞い行動モデル 第2報障害物回避と情報投影を考慮した人物追従 高橋亮, 李周浩 日本ロボット学会学術講演会 Vol.28 3Q1-3 2010.9
Paraphrase-Based News Display Service Using Ubiquitous Display Joo-Hyung Kim, Jeong-Eom Lee, Sang-Jun Kim, Gwi-Tae Park, Joo-Ho Lee 2010 IEEE International Conference on Intelligent Computing and Intelligent Systems(ICIS 2011) 2010.8
インテリジェント環境と連携した視覚情報支援のための移動投影ロボットの振る舞いモデル 宮下智至, 高橋亮, 李周浩 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2010 1P1-C20(1)-(4) 2010.6
錯覚効果を用いたプロジェクタによる影表現 東晃佑, 宮下智至, 李周浩 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2010 2P1-C04(1)-(2) 2010.6
2009年度
Making Environments as Canvases -Ubiquitous Display, from 2D to 3D- Joo-Ho Lee, Satoshi Miyashita and Kouseke Azuma The 18th IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN) pp.212 2009.9
Anamorphosis Projection by Ubiquitous Display in Intelligent Space Jeong-Eom Lee, Satoshi Miyashita, Kousuke Azuma, Joo-Ho Lee, Gwi-Tae Park HCI (6) pp. 209-217 2009.7
移動ロボットを用いた建物内における訪問者案内画像の自動生成 高橋亮, 李周浩 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2009 2P1-F09 2009.5
回転機構付プロジェクタを用いたアナモルフォーズによる立体表現 東晃佑, 宮下智至, 高橋亮, 李周浩 情報処理学会 第71回全国大会 5X-1 2009.3
2008年度
ユビキタスディスプレイを用いた裸眼立体アニメーション 宮下智至, 東晃佑, 高橋亮, 李延香奄, 李周浩 第9回 計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 2B3-2 2008.12
UBIQUITOUS DISPLAY FOR HUMAN CENTERED INTERFACE Satoshi Miyashita, Joo-Ho Lee Proceedings of the 17th World Congress IFAC Seoul pp.2436-2441 2008.7
ユビキタスディスプレイ”UD-1”を用いたアナモルフォーズによる裸眼立体視の実現 冨板紀宏, 宮下智至, 李周浩 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2008 2P2-E22 2008.6
2007年度
環境非固定型パンチルトプロジェクタの姿勢変化に起因する歪みの補正手法 宮下智至, 李周浩 第8回 計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 3L2-5 2007.12
Human Centered Ubiquitous Display in Intelligent Space Joo-Ho LEE The 33rd Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society(IECON) pp22-27 2007.11
2006年度
映像投影装置を持つ移動ロボットによる避難誘導システム 原田哲也, 伴重尚, 李周浩 第7回 計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 2I1-2 2006.12